小学生が宿題をやらないときは?親子でもめない5つのステップ
小学生が宿題をやらないと、毎晩のように「早くやりなさい」「あとでやる」のくり返しになりがちです。宿題が毎日出る学校なら、なおさらでしょう。このやりとりを減らすには、「今日はいつやるか」を毎日決め直すのをやめることです。学校のある日は、同じ時間に、同じ場所で、短い始まりの手順から宿題を始める。大人は近くにいても、代わりにやることはしない。終わったら、いっしょに見直す。もめごとの多くは「いつやるか」と「やるかどうか」をめぐるものなので、誰かが疲れてしまう前に、決まった流れが両方の答えを出してくれます。
この記事は、だいたい6〜12歳の小学生のための内容です。保護者と宿題について研究からわかっていること、宿題の量の目安、5つのステップでつくる毎日の流れ、口を出しすぎない手伝い方、そしてお子さまがどうしてもやらないときに試せることを紹介します。
小学生が宿題をやらないのはなぜ?
宿題をいやがる子には、うまく言葉にできなくても、たいてい理由があります。よくあるのは次のようなものです。
- タイミングが悪い。 おなかがすいている、疲れている、長い一日のあと休憩なしでいきなり始めている。
- どこから手をつければいいかわからない。 量が多く見える、授業での説明がよくわからなかった。
- むずかしすぎる、またはかんたんすぎる。 どちらも、子どもには意味がないように感じられます。
- もっと楽しいことが待っている。 遊び、ゲームや動画、宿題のないきょうだい。
- もめること自体が習慣になっている。 宿題がいつも言い合いで終わるなら、ノートを開く前から言い合いが始まります。
最初の4つは、具体的な問題なので、具体的な対処で解決できます。最後のひとつのためにあるのが、毎日の流れです。最初の4つを何週間か続けて片づけていくと、もめる理由そのものが少なくなっていきます。
宿題と保護者の関わりについて、研究でわかっていること
この記事のアドバイスのもとになっている研究をいくつか紹介します。
低学年の宿題は、おもに習慣づくり。 ハリス・クーパー氏らが米国の宿題研究をまとめた2006年の総説では、宿題が学力の向上に役立つという結果がおおむね一貫して見られました。ただしその結びつきは、7〜12年生(日本の中学1年〜高校3年にあたる学年)のほうが、キンダーガーテン(小学校入学前の1年)〜6年生よりも強くなっていました。私たちはこれを、7歳の子なら時間を増やすより、落ち着いて毎日続く流れを大事にしよう、という意味に受けとっています。
枠組みは役に立つ。代わりにやるのは役に立たない。 同じグループによる2008年の研究のまとめでは、宿題への関わり方を保護者が学ぶと、小学生の宿題を終える割合が上がり、宿題をめぐる問題が減っていました。調べられた関わり方のなかでは、保護者が宿題のルールを決めることが、学力といちばん強く結びついていました。一方、中学生くらいの年齢(米国のミドルスクール)では、関わりと学力の結びつきはマイナスになっていて、著者たちは、役に立つ関わり方は学年が上がるにつれて変わると結論づけています。
大切なのは、手伝う回数より手伝い方。 6年生1,685人を対象にした研究では、保護者の手伝いの「量」が多いほど学力の伸びは弱く、子どもが「支えてもらっている」と感じた手伝いは伸びのよさと、「口出しされている」と感じた手伝いは伸びの悪さと結びついていました。大学進学を前提としないコースの生徒2,830人を5年生から7年生まで追った研究でも、同じような傾向が見られました。保護者のコントロールが強いと、そのあとの学校での様子がよくなく、子どもに合わせた手伝いとはっきりした枠組みのあとには、よい様子が続いていました。
これらは観察研究なので、わかるのは「いっしょに見られる傾向」で、原因と結果ではありません。もともと勉強に苦労している子ほど、保護者のコントロールを受けやすいということもあり、5年生から7年生を追った研究でもまさにそれが見られました。それでも、研究の向きはそろっています。枠組みは大人がつくり、あたたかく見守り、考えるのはお子さまにまかせる、ということです。
宿題の量、どれくらいがふつう?
米国教育省の冊子『Helping Your Child with Homework(お子さまの宿題を手伝うために)』は、米国の全国的な保護者団体と教員団体による目安を紹介しています。米国の学年での目安です。
| 米国の学年(年齢) | 学校のある日1日あたりの宿題の目安 |
|---|---|
| キンダーガーテン〜2年生(5〜8歳ごろ) | 10〜20分 |
| 3〜6年生(8〜12歳ごろ) | 30〜60分 |
| 7〜9年生 | もっと多く、日によって変わることも |
冊子は、家での読書を入れるとこの時間を少し超えることもあり、子どもや状況によって違いがあるとも書いています。
日本では、宿題の量や家庭学習の時間の目安は学校ごとに決めているのがふつうです。和歌山県教育委員会が学校向けにまとめた家庭学習の参考資料は、学校が「家庭学習の手引き」をつくって保護者に伝えるよう勧めていて、その手引きの例に「小学校:10分×学年」という目安が載っています。これは宿題に自主学習も加えた家庭学習全体の目安で、資料自体も学習時間は学年ごとに各学校で設定するようにと書いています。お子さまがいつもこれよりずっと長くかかっている、あるいは宿題をまったく持ち帰ってこないようなら、家でのやり方を変える前に、担任の先生に相談してみてください。
宿題のやる気を出す方法:5つのステップでつくる毎日の流れ
1. 時間はいっしょに決める
正解の時間はひとつではありません。米国教育省の冊子は、はっきりこう書いています。「いちばんよいスケジュールは、お子さまとご家族に合ったスケジュールです」。おやつのすぐあとがはかどる子もいれば、1時間遊んでからの子、夕ごはんのあとの子もいます。冊子が避けるようにと言っている時間は、ひとつだけです。「寝る直前まで宿題を残しておかないように」。
大人の都合に合う時間を2つか3つ出して、そこからお子さまに選んでもらい、決めたら続けます。習いごとや学童で曜日ごとに帰る時間が変わるなら、曜日ごとの予定を書いて、家族みんなに見える場所に貼りましょう。学童で宿題の時間があるなら、家では見直しと音読だけ、と決めておくのもひとつの方法です。子どもの朝の支度をスムーズにの記事でも、登校前の朝に同じ工夫を使っています。
2. 場所をひとつに決める
専用の勉強机でなくてもかまいません。冊子は「多くの子どもにとっては、台所のテーブルやリビングの一角で十分です」としていて、明るく、ある程度静かであればよいとしています。和歌山県教育委員会の資料にある保護者向けの手引きの例も、テレビやゲームを消した環境を整えるよう勧めたうえで、「家族の存在を感じられる居間で、落ち着いて学習を行うことも方法の一つ」と書いています。
えんぴつ、消しゴム、えんぴつけずり、定規、紙はひとつの箱にまとめておきましょう。「えんぴつがない」から10分うろうろ、という展開を防げます。箱やその一角をお子さまが自分で飾るのも楽しいかもしれません。テレビは消して、スマホは離れた場所に。冊子は、静かなBGMがあるほうが集中できる子なら、それもかまわないとしています。
3. 毎日同じ始め方をする
短い「始まりの手順」があると、座ること自体が自然になります。私たちのおすすめは、まずおやつと飲みもの、次にランドセルを開けて連絡帳と宿題のプリントを出し、今日の宿題が何かをお子さまが自分の言葉で話す、という流れです。最後のひとつは、冊子にある保護者向けの質問リストからとりました。お子さまが問題の説明を読んだら、何をする宿題なのかを自分の言葉で話してもらいます。もし話せなければ、もめごとになる前に本当の問題が見つかったことになります。
4. 小さく区切って、休憩をはさむ
大きな課題も、分ければ小さくなります。KidsHealthの宿題のコツは、宿題を「取り組みやすい大きさに」分け、「できれば1時間ごとに15分の休憩をとる」ことを勧めています。6〜7歳なら、区切りはもっとずっと短くていいと私たちは考えています。プリント1枚やったら立ち上がって伸びをする、くらいです。冊子も、お子さまがいらいらしてきたら休憩させ、きっとできると信じていることを伝えるよう勧めています。
5. 見直しとランドセルの準備で終わる
終わったら、いっしょに見直します。冊子は、小学生なら宿題が全部終わっているかを確かめ、中学生くらいでも終わらせるのに苦労しているなら中身まで確かめるよう勧めています。和歌山県教育委員会の資料の手引きの例も、家庭学習が終わったら内容を確認し、コメントやサインをするよう保護者にお願いする形になっています。音読の宿題が出ているなら、聞き役になるのもこの時間です。それから、全部をすぐにランドセルへ。宿題のすぐあとに準備をすませておけば、朝の仕事がひとつ減ります。
年齢別の流れ
| 6〜8歳 | 9〜12歳 | |
|---|---|---|
| 時間を決めるのは | 大人が2〜3つ候補を出す | お子さまが提案し、大人が了承する |
| 大人がいる場所 | 同じ部屋で、自分の静かな用事をする | 近くにいて、1〜2回様子を見る |
| 区切り方 | 1ページ、またはひとつの課題ずつ | 20〜30分やったら短い休憩 |
| 計画 | その日のリストをいっしょに書く | お子さまが書く。自由研究やテストは1週間の計画で |
| 終わったら | いっしょに見直す | 見せてくれたものを見直す。苦手な教科は少していねいに |
口を出しすぎない手伝い方
冊子の基本のルールは「宿題を代わりにやらないこと」です。宿題はお子さまのものだからです。KidsHealthも「学ぶのは子どもの仕事」と書いています。それでも、考えるのがお子さまのままであれば、手伝えることはたくさんあります。
- 説明する前に聞く。 「何をきかれている問題?」「どうやってみた?」「その答え、自分でなっとくできる?」最後の質問は、冊子のチェックリストそのままです。
- 別の例で見せる。 ある種類の問題でつまずいているなら、似た問題をいっしょに解いて、それから本物の問題をお子さまに返します。
- まちがいは先生に見えるように残す。 まちがった答えは、先生にとって「もう一度教えるところ」の手がかりになります。KidsHealthも、子どもが自分でまちがえることを認めるよう書いています。
- 声のトーンは平らに。 先ほどの研究では、子どもが口出しやコントロールと感じる手伝いは、よくない結果と結びついていました。いらいらしてきたと感じたら、大人のほうがひと休みしましょう。
- 大人にもわからないときは、 冊子は、クラスの友だちに電話したり、先生に連絡したりすることを勧めています。「いっしょに聞いてみよう」で十分な答えです。
ほめるなら、がんばったことを具体的に。冊子は「読書感想文の下書き、よく書けたね!」のような声かけを例に挙げ、注意するときも前向きな言い方をするよう勧めています。「そんなぐちゃぐちゃなの、出すつもりじゃないよね?」より、「ていねいな字で書くと、考えたことが先生にもっと伝わるよ」。
それでも宿題をやらないとき
流れはできているのに、お子さまがまだ「やらない」と言うなら、次の順番で見ていきましょう。
まず基本を確かめる。 食べもの、学校のあとの休憩、そして十分な睡眠。19時に疲れきっている子は、何にでも抵抗します。年齢ごとの睡眠時間は、子どもの寝る前のルーティンの記事にまとめています。
最初の5分だけそばにいる。 いちばんむずかしいのは、始めることです。いっしょに座って最初の問題を読み、それから大人は自分の用事にもどります。これは私たちの提案ですが、冊子の「そばにいてあげて」という助言とも合っています。質問に答えてくれる人がそばにいるのを好む小学生は多い、と冊子は書いています。
宿題が少ない日も、宿題の時間はそのまま。 冊子は、学校のある夜には毎日、宿題やほかの学びのための時間を決めている家庭を紹介しています。宿題が多くても少なくても時間が同じなら、急いで終わらせる理由も、宿題を学校に「忘れてくる」理由も減ります。宿題がない日は、本を読みます。
「〜したら、〜しよう」を使う。 「宿題が終わったら公園に行こう」のほうが、「宿題やらないなら公園はなし!」よりおだやかに聞こえます。ルールは同じでも、予定のように聞こえるからです。
ごほうびは、お子さまが自分で決められる手順に。 宿題に深刻な問題を抱えた子ども4人を対象にした小さな研究では、目標を立てることに加えて、宿題の目標と、それを達成したらどうなるかを親子で書面にした約束(随伴性契約)を使うと、宿題の正確さが上がり、4人のうち2人は集中して取り組む時間も増えました。とはいえ4家族だけの結果なので、ヒントとして受けとってください。表を試すなら、ごほうびは時間どおりに座る、終わらせる、ランドセルを準備するといった、お子さまが自分でできることにつけましょう。いずれ卒業できる表の作り方はご褒美シールの効果の記事で紹介しています。ごほうびがゲームや動画なら、先にゲームをご褒美にしていい?の記事を読んでみてください。
声かけのくり返しにしない。 10分ごとに「宿題は?」と言っているなら、その声かけが「始める合図」になってしまっています。お手伝い表で「何度も言う」を卒業の記事では、やることのリストを大人の頭の中から外に出して、声かけから確認へと切り替える方法を紹介しています。宿題にもそのまま使えます。
宿題だけの問題でなさそうなら、視野を広げる。 勉強も含めて、ほとんどのことに興味をなくしているようなら、まずはやる気のない子ども、原因は?の記事から読んでみてください。
先生に相談したほうがいいとき、ほかの助けが必要なとき
冊子は、次のような場合に先生へ連絡するよう勧めています。いろいろ手を尽くしてもお子さまが宿題をしようとしないとき、宿題の説明がわかりにくいとき、宿題がむずかしすぎる、またはかんたんすぎるように見えるとき、宿題の出方にむらがあるとき(3日間なにもなく、そのあと翌日までの課題が4つ出る、など)。また、問題が起きる前の年度のはじめに先生と話し、保護者にどのくらい関わってほしいかを聞いておくことも勧めています。望む関わり方は先生によって違うからです。4月の保護者会や個人面談は、そのよい機会になります。
それでも問題が続くなら、KidsHealthは助けを求めるよう勧めています。めがねが必要な子もいますし、「学習の問題や注意の障害について評価が必要な」子もいます。がんばっているのに終わらない子や、授業中も読むことや集中することに苦労している子については、担任の先生と、かかりつけの小児科医に相談してみてください。
印刷できる宿題のチェック表
毎日の流れを目に見える形にするなら、1週間の表に宿題を入れてみましょう。無料のお手伝い表メーカー(宿題を入れた状態)なら、お子さまの名前と、「しゅくだい」「本を20ぷんよむ」「かんじのれんしゅう」「さんすうのれんしゅう」「かばんのじゅんび」の絵、曜日ごとのチェック欄がついた1週間の表を印刷できます。やることは、お子さまに合わせて入れかえてください。時間を自分で書きこみたいなら、1日のスケジュール表に放課後の予定を書く欄があります。
表は宿題をする場所の近くに貼り、毎回終わったらいっしょにチェックを入れましょう。
よくある質問
小学1・2年生の宿題は何分くらいが目安?
米国教育省の冊子では、学校のある日1日あたり、キンダーガーテン〜2年生で10〜20分、3〜6年生で30〜60分が目安で、読書を入れると少し長くなることもあります。日本では学校ごとに目安が決められていて、和歌山県教育委員会の資料には、家庭学習全体の例として「10分×学年」が挙がっています。お子さまがいつもずっと長くかかるようなら、担任の先生に相談してください。
宿題は学校から帰ってすぐにやらせるべき?
そうとはかぎりません。冊子は、いちばんよいスケジュールはお子さまとご家族に合ったものだとしています。午後のうちがはかどる子もいれば、1時間遊んでからの子、夕ごはんのあとの子もいます。避けたいのは、寝る直前まで残しておくことだけです。
親は宿題を手伝ったほうがいい?
はい、手伝い方しだいです。そばにいて、何をする宿題なのかを理解する手助けをし、終わったものを見直す。ただし、考えるのはお子さまにまかせます。先ほどの6年生の研究では、子どもが支えになったと感じた手伝いは伸びのよさと、口出しと感じた手伝いは伸びの悪さと結びついていました。
宿題をしたらごほうびをあげてもいい?
時間どおりに始める、終わらせるなど、お子さまが自分でできる手順に小さなごほうびをつけるのは、「やらない」がくせになっている子の助けになることがあります。小さく始めて、流れがひとりでに回るようになったら少しずつ減らしていく計画を立てましょう。成績やテストの点数は、お子さまが自分では完全にはコントロールできないものなので、ごほうびをつけないことをおすすめします。
「今日は宿題ない」と言われたら?
それでも宿題の時間はそのままにして、読書や練習にあてましょう。冊子は、学校のある夜に毎日決まった時間をとることで、宿題を「忘れる」ことが減るとしています。何度も続くなら、宿題がどのように出ているのかを担任の先生に確かめてみてください。
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出典
- U.S. Department of Education (2002). Helping your child with homework: for parents of children in elementary through middle school
- Nemours KidsHealth: Top 10 homework tips
- Cooper, Robinson & Patall (2006). Does homework improve academic achievement? A synthesis of research, 1987–2003. Review of Educational Research
- Patall, Cooper & Robinson (2008). Parent involvement in homework: a research synthesis. Review of Educational Research
- Moroni, Dumont, Trautwein, Niggli & Baeriswyl (2015). The need to distinguish between quantity and quality in research on parental involvement: the example of parental help with homework. Journal of Educational Research
- Dumont, Trautwein, Nagy & Nagengast (2014). Quality of parental homework involvement: predictors and reciprocal relations with academic functioning in the reading domain. Journal of Educational Psychology
- Miller & Kelley (1994). The use of goal setting and contingency contracting for improving children's homework performance. Journal of Applied Behavior Analysis
- 和歌山県教育委員会「家庭学習の充実を図るための参考資料」


