ゲームをご褒美にしていい?研究でわかったことと年齢別のルール
ゲームや動画をご褒美にすると、その場ではよく効きます。だからこそ、多くの家庭で使われています。この問題の研究はまだ少なく、ほとんどがアンケート調査ですが、結果の向きはそろっています。親がゲームや動画をごほうびとして与えたり、罰として取り上げたりしている家庭の子どもは、画面を見る時間が全体として長くなる傾向があります。そのため、ごほうびに使わないよう勧めている小児科の専門機関もあります。
全面的に禁止する必要はありません。ごほうびの仕組みにゲームや動画を入れるなら、もらえる時間は短くして上限を決め、寝る前の1時間には使わず、お子さまが同じくらい欲しがるほかのごほうびを横に並べておきましょう。この記事では、研究でわかったこと、小児科の専門機関の考え方、そして画面の時間が家の中で唯一の「通貨」にならないための年齢別ルールを紹介します。
画面の時間はごほうびにしていい?まずは結論から
多くの家庭では、ゲームや動画はごほうびにするより、毎日の決まった時間にしたほうがうまくいきます。「宿題が終わったら30分、そのあとはおしまい」という決まった枠があれば、お子さまには楽しみな時間ができ、頼みごとのたびに何分もらえるかの交渉にならずにすみます。
それでもごほうびのリストに入れたい場合は、次の3つの条件を守ると、行きすぎを防ぎやすくなります。
- 小さなボーナスにする。 行動に関係なくもらえる毎日の決まった時間に、少し上乗せする形にします。
- 上限を決める。 ためた時間が積み重なって、土曜日に5時間、ということにならないようにします。
- いくつもあるごほうびの1つにする。 公園へのおでかけや、夕ごはんのメニューを選ぶ権利が同じくらいの「値段」なら、ゲームや動画があらゆるものを測るものさしになりません。
5歳未満の子どもには、ゲームや動画のごほうびはやめておくことをおすすめします。理由はこのあと説明します。
ゲームをご褒美にすると:研究でわかったこと
まさにこの問いを調べた研究が2つあります。どちらも、ある一時点の家庭を調べたアンケート調査なので、わかるのは「関連」までで、原因までは示せません。
幼い子ども(1歳半〜5歳)。 カナダのGuelph Family Health Studyに参加した62人の子どもを対象にした研究は、母親と父親それぞれに、画面の時間をどう扱っているかをたずねました。母親が画面の時間を行動のコントロールに使っている(ごほうびや罰にしている)家庭では、子どもの画面の時間が平日も週末も長い傾向がありました。父親の場合は、週末に長い傾向が見られました。参加した家庭はカナダの平均より収入が高く、多くが白人で、子どもの画面の時間は保護者の申告だったため、著者らは、この結果がほかの家庭にもあてはまるとは限らないとしています。大学による紹介記事では、その差は週末で1日約20分とされています。研究者の1人、ジェス・ヘインズ氏は食べ物にたとえて、「食べ物をごほうびにすると、子どもはにんじんを好きでなくなり、ケーキをもっと好きになります。画面の時間も同じです」と話しています。
思春期の入り口(12〜13歳)。 はるかに規模の大きい、ABCD研究の米国の10,048人を対象にした研究は、保護者にメディアのルールを、子ども本人に画面の使い方をたずねました。保護者の約4割が、よい行動へのごほうびとして画面の時間を与えていると答え、4分の3を少し超える保護者が、罰として取り上げていると答えました。画面の時間を行動のコントロールに使っている家庭では、子どもの画面の時間が長く、ゲームの問題のある使い方をはかる質問票の得点も高い傾向がありました。逆の関連が見られた習慣も2つあります。子どもの画面の使い方を見守っている、制限を決めている、という保護者の子どもは、画面の時間が短い傾向でした。これも一時点のアンケート調査で、何が原因で何が結果かはわからないと著者らは書いています。
この研究の子どもたちは、この記事で扱う多くの子どもより年上です。また著者らは、画面の時間をごほうびにすることと、子どもの1週間のテレビ視聴時間とのあいだに関連が見られなかった以前の研究にも触れています。つまり証拠は限られていて、ごほうびが画面の時間を増やすと証明することはできません。それでも、今ある研究は「ごほうびにすると画面の魅力がさらに増す」という方向に傾いています。
家庭でよく使われる「お手伝いでゲーム時間をかせぐ表」を実際に試した研究は、見つけられませんでした。使うかどうかは各家庭の判断になります。以下のルールは、その判断を慎重に進めるためのものです。
小児科の専門機関と国の指針は何と言っている?
意見はそろっていません。どちらかの方向にきっぱり言い切る記事を読むときに、知っておくと役に立ちます。
- 反対: 米国のシアトル小児病院は画面の時間についての案内で、「画面での娯楽を、ごほうびや、子どもを落ち着かせたりなだめたりする手段として使うのは避けましょう」としています。同じページでは、寝る前の1時間は画面を使わず、夜は寝室にスマホやタブレットを置かないことも勧めています。
- もう少しゆるやか: 米国小児科学会(AAP)のお手伝いのページは、お手伝いをしなかったときには「特定の特権や特別な活動を取り消す」こともできるとしながら、叱るより、励ましてうまくいったことに報いるほうが「はるかに効果的」だとしています。そして「電子機器や画面の時間は特権であって、権利ではないことを忘れずに」と加えています。
- 大きな流れ: AAPは2026年、それまでのメディアに関する指針を、学術誌『Pediatrics』2月号に掲載された新しい方針声明に置きかえました。保護者向けの解説によると、目標は「単純な時間制限を超えて、質や状況、対話に目を向けること」です。家族のメディア利用計画をつくること、寝室と食事の場から始めて、「とくに寝る前の1時間は」画面を使わない場所と時間を決めること、そして保護者自身が見せたい習慣の手本になることを勧めています。
- 日本の指針: 厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023のこども版は、小・中・高校生について、テレビやゲーム、スマホなどのスクリーンタイムを1日2時間以下にすることが推奨されていると紹介し、「デジタル機器は寝室には持ち込まず、電源を切って、別の部屋に置いておきましょう」としています。
- 5歳未満について: 世界保健機関(WHO)の2019年のガイドラインは、2〜4歳の子どもの座ったままの画面の時間は「1時間以内。少ないほどよい」としています。
AAPの解説は、多くのアプリがすでにアプリ自身のごほうびで動いていることも指摘しています。「遊び続けさせるためのごほうび」から、「ログインするだけで子どもにごほうびを出す」アプリまであります。家庭でのごほうびを画面の時間で払うと、その上にさらに重なることになります。
日本の家庭の様子も見ておきましょう。こども家庭庁の令和6年度の調査では、インターネットを利用している0〜9歳の子どもの平均利用時間は、平日1日あたり約2時間9分でした。また、子どもがインターネットを利用している0〜9歳の保護者の81.6%が、利用について「ルールを決めている」と答えています。多くの家庭にはすでにルールがあります。大切なのは、そのルールをごほうびと罰の道具にしないことです。
ゲームや動画がごほうびとして扱いにくい理由
画面の時間は、ほかの多くのごほうびとふるまいが違います。
最初からいちばんの人気者。 タブレットを欲しがるように教える必要がある子どもは、ほとんどいません。それをメインのごほうびにすると、「いちばん価値があるのはこれ」とお墨つきを与えることになり、ほかのものまで何分ぶんかで測られるようになります。
やめどきが難しい。 公園へのおでかけは、歩いて帰れば終わります。ゲームには自然な終わりがなく、現実に戻る切りかえの場面で、もめごとが始まりがちです。この切りかえについては、やる気のない子どもの記事でくわしく取り上げています。
交渉を招く。 ゲームの時間がお金のようになると、どのお手伝いにも値段がつきます。「食洗機から食器を出したら、ゲーム何分?」は9歳の子どもにとっては筋の通った質問ですが、毎日答えるのは疲れます。
土曜日にたまに30分のボーナスを出すことを調べた研究はありませんし、上のアンケート調査が測ったのは、日々の習慣のほうです。それでも、画面の時間にはシールや公園よりもしっかりした歯止めが必要だということは読みとれます。
ごほうび型・貯金型・固定時間型、そしてボーナス型
「ゲームや動画をごほうびにしている」という家庭の多くは、次の4つのどれかにあてはまります。それぞれ、ふるまいがかなり違います。
| やり方 | しくみ | よいところ | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| ごほうび型 | よい行動でもらえ、よくない行動で取り上げられる | その場では効く | 画面の時間があらゆることを動かす道具になる。研究で調べられたのはこのパターン |
| 貯金型 | お手伝いのたびに時間(分)がたまる(「ゲーム時間をかせぐ表」) | わかりやすく、子どもにも理解しやすい | 分が積み重なる。どのお手伝いにも値段がつく。週末に長時間になりやすい |
| 固定時間型 | 毎日のやることが終わったあと、決まった時刻に決まった枠(「宿題が先、ゲームはそのあと」) | 予測できて交渉がなく、毎日同じにしやすい | 「かせぐ」ものがないので、時間の上限は大人が守る必要がある |
| ボーナス型 | 毎日の決まった枠に、上限つきの小さな上乗せをかせげる | ある程度のやる気は残しつつ、画面の時間が仕組みの全部にならない | 上限は低く、上乗せはときどきに |
固定時間型とボーナス型は、画面の時間を予測できるものにします。多くの小児科の助言がめざしているのも、そこです。この4つを直接くらべた研究はないので、表は考えを整理するための道具として使ってください。研究にもとづく順位づけではありません。
年齢別のルール
以下は、ここまでの情報源をもとにした私たちの提案です。ご家庭に合わせて調整してください。
| 3〜5歳 | 6〜8歳 | 9〜12歳 | |
|---|---|---|---|
| ごほうびにする? | しない。体験や小さなものを使う | 毎日の決まった枠に上乗せする小さなボーナスとしてだけ | ボーナスとしてなら可。できれば家族のメディア利用計画を一緒に決める |
| 毎日の画面の時間の決め方 | 短い決まった枠。できれば一緒に見る(WHO:2〜4歳は1時間以内) | 毎日同じ時刻の決まった枠 | 子どもも一緒に決めた計画:いつ、どこで、何を含めるか |
| 上乗せの大きさ | なし | 15〜30分 | 30分 |
| 上限 | 不要 | 1日1回まで | 1日1回まで。週末を越えて持ち越さない |
| タイミング | かんしゃくを静めるためには使わない | 毎日のやることのあと。寝る前は使わない | 毎日のやることのあと。夜は画面を寝室の外へ |
| ほかにかせげるもの | おはなしをもう1つ、公園、おかしづくり | 夕ごはんを選ぶ、家族でゲーム大会、友だちと遊ぶ日 | 週末の予定を決める、サイクリング、友だちを家に呼ぶ |
どの年齢にも共通するルールが2つあります。
- かせいだものは、かせいだもの。 関係のない行動の罰として、かせいだ時間を取り上げないでください。ごほうびを取り上げることは、ご褒美シールが逆効果になるパターンの1つです。
- 寝る前の1時間は画面なし。 シアトル小児病院が勧め、AAPの解説も提案し、厚生労働省の睡眠ガイドもデジタル機器を寝室に持ち込まないよう呼びかけています。家族みんなの睡眠を守ることにもなります。
ごほうびリストの中で、画面の時間はどこに置く?
画面の時間がたくさんある選択肢の1つになると、その引力は少し弱まります。私たちがアプリのために作ったごほうびリストで、画面のごほうび2つがほかのごほうびの中でどんな「値段」になっているかを、ポイント(アプリでははちみつ)で示します。画面の時間は、わざと体験と同じくらいの値段にしてあり、「いちばんお得」にならないようにしています。画面を使わないごほうびの全リストは、ご褒美シールの効果の記事にあります。
| ごほうび | 3〜5歳 | 6〜8歳 | 9〜12歳 |
|---|---|---|---|
| ばんごはんをえらぶ | 8 | 10 | 12 |
| テレビ・どうが30ぷん | 8 | 10 | 12 |
| こうえんにおでかけ | 8 | 12 | 15 |
| ゲーム30ぷん | 10 | 12 | 15 |
| いっしょにおかしづくり | 10 | 15 | 20 |
| ともだちとあそぶ日 | 20 | 25 | 30 |
目安として、アプリの7歳向けスタートセット(1日2回のはみがき、ベッドをととのえる、宿題、テーブルのじゅんび、かばんのじゅんび)は、全部できた日に、はちみつ10こになります。これはテレビ・動画30分と同じで、公園へのおでかけにはあと2こ足りません。ボーナスは、その日を過ごす目的にならないくらいの大きさがちょうどいいでしょう。
私たちは体験を主役のごほうびにして、画面の時間はわき役の選択肢にしています。リストはご家庭に合わせて変えられます。
ゲームを取り上げるのは逆効果?
「画面の時間で行動をコントロールする」のもう半分がこれで、ごほうびにするよりさらによく使われています。ABCD研究では、およそ4人に3人の保護者が罰として取り上げていました。同じ研究では、ごほうびと罰を合わせた「コントロール」は、画面の時間が長いことと関連していました。短くなる方向ではありません。
取り上げるなら、画面そのものと結びつけましょう。「約束の時間を過ぎてゲームを続けたから、明日の枠は短くなるよ」なら、結果と出来事がつながっています。「きょうだいに意地悪を言ったから、今夜はタブレットなし」だと、画面の時間が何にでも使える「てこ」になり、研究が注意をうながしているパターンそのものです。お手伝いをしなかったときも、そのお手伝いに結びついた対応のほうがうまくいきます。例はお手伝い表で声かけを減らす1週間プランの記事にあります。
画面の時間に振り回されない「かせぐ」ルール
試してみると決めたなら、このチェックリストで範囲を守りましょう。冷蔵庫に貼るか、スマホのメモに写しておいてください。
- [ ] 行動に関係なく、毎日の決まった画面の時間がある
- [ ] かせげる時間は15〜30分のボーナスで、1日の上限がある
- [ ] 週末を越えて持ち越さない
- [ ] 画面の時間はほかのごほうびと同じくらいの値段で、画面を使わないごほうびが4つ以上ある
- [ ] 毎日のやることが先。画面はそのあと、決まった時刻に
- [ ] 画面をつける前に、終わりを決めておく(この回が終わったら、タイマーが鳴ったら)
- [ ] かせいだものを、関係のない行動のせいで取り上げない
- [ ] 寝る前の1時間は画面を使わず、夜は機器を寝室に置かない
- [ ] 3週間後に見直す:分をめぐる言い合いは増えた?減った?
言い合いが増えたら、貯金型から固定時間型に切りかえましょう。「毎日17時半になればゲームができる」とわかっているだけで、ほとんどの交渉がなくなる家庭もあります。
紙で用意したい場合は、ゲーム・スマホの時間の表をどうぞ。毎日の決まった枠、上限つきのボーナス、ここで紹介したルールを1ページにまとめ、画面を使わないごほうびを書く欄もあります。
よくある質問
ゲームや動画をごほうびにするのはよくないですか?
たまに出す小さなごほうびだけを調べた研究はありません。研究が見ているのは、画面の時間をごほうびや罰に使う習慣のほうで、幼児と思春期の入り口の子どもを対象にしたアンケート調査は、どちらもその習慣と画面の時間の長さとの関連を示しています。証拠は限られていて因果関係までは証明できませんが、メインのごほうびにせず、小さく上限つきにしておく理由にはなります。
お手伝いでゲームの時間をかせぐのはありですか?
かせいだ時間が上限つきの小さなボーナスで、毎日の決まった枠も別にあるなら、うまくいくことがあります。画面の時間をすべてかせがなければならないと、どのお手伝いにも分単位の値段がつき、週末に長時間になりがちです。毎日のやることのあとに決まった枠を設けるほうが、言い合いが少ないと感じる家庭が多いようです。
ごほうびでかせげる画面の時間は、どれくらいが目安ですか?
公式な数字はありません。AAPの2026年の方針は、単純な時間制限から、質や状況、家族の計画へと重心を移しました。WHOは2〜4歳について1日1時間以内としています。厚生労働省の睡眠ガイドは、小・中・高校生のスクリーンタイムを1日2時間以下にすることが推奨されていると紹介しています。小学生なら、上乗せは15〜30分、1日1回までにしておくと、かせいだ時間が1日のメインイベントになりません。
ゲームよりうまくいくごほうびは?
体験と特権です。おはなしをもう1つ、夕ごはんのメニュー選び、公園へのおでかけ、一緒のおかしづくり、家族のゲーム大会、週末の予定を決める権利など。お金より時間がかかるものが多く、やめどきでもめることもありません。ご褒美シールの効果の記事に、年齢別の値段つきのリストと、いずれ表を卒業するための作り方をまとめています。
Habibeeでは、画面の時間はたくさんあるごほうびの1つです。アプリのごほうび置き場「すばこ」に何を並べ、いくらにするかは保護者が決め、お子さまはそれぞれのごほうびまであと何日くらいかを見ることができます。2026年11月リリース予定で、habibee.appでウェイトリストに登録できます。
出典
- Tang, Darlington, Ma & Haines (2018). Mothers' and fathers' media parenting practices associated with young children's screen-time: a cross-sectional study. BMC Obesity
- University of Guelph via ScienceDaily (2019): Controlling children's behavior with screen time leads to more screen time, study reveals
- Nagata et al. (2024). Associations between media parenting practices and early adolescent screen use. Pediatric Research
- Seattle Children's: Screen time and digital media use
- HealthyChildren.org (AAP): Helping kids thrive in a digital world, AAP policy explained (2026)
- HealthyChildren.org (AAP): A child-friendly digital world, AAP releases new media recommendations (2026)
- HealthyChildren.org (AAP): Age-appropriate chores for children
- World Health Organization (2019): To grow up healthy, children need to sit less and play more
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」


