ご褒美シールに効果はある?研究の結論と逆効果になる6つの落とし穴

ご褒美シールに効果はあるのでしょうか。答えはおおむね「あり」で、その裏づけとなる研究は、世間の評判よりもしっかりしています。効果が出やすいのは、子どもにとって退屈なこと(歯みがき、パジャマに着替える、食べ終わったお皿を下げる)を対象にしたとき。さらに、目標が目に見えること、最初のごほうびが「もうすぐ」と感じられる近さにあること、いつかシール表を卒業する計画があることも大切です。逆効果になりやすいのは、子どもがもともと大好きなことにごほうびを出すとき、ごほうびが大きすぎたり遠すぎたりするとき、そして罰としてシールをはがすときです。

「ごほうびはやる気をなくさせる」という声にも、きちんとした研究の裏づけがあります。ただ、よく読むと、そうした研究の多くは、子どもがもともと楽しんでいることへのごほうびを扱っています。上手に作ったシール表なら、最初から外しておく部分です。

小児科や児童精神医学の専門機関が勧める理由

米国児童青年精神医学会(AACAP)は、子どもとお手伝いについての保護者向けガイドで「具体的な目標を決めたシール表やごほうびの仕組みをつくり、進み具合を確かめて、よい行動を後押ししましょう」と勧めています。米国小児科学会(AAP)もHealthyChildren.orgで、お手伝い表を「家族全員がやるべきことを忘れないための、目に見えるリマインダー」と呼び、「終えたお手伝いと結びつけた、おこづかいやシールといった形のあるごほうび」も検討してみるよう提案しています。

いちばん強い後押しは、ADHDのケアの分野から来ています。米国疾病予防管理センター(CDC)は、保護者向けの行動管理トレーニングを「6歳未満のADHDの子どもに対する治療の第一選択として推奨される方法」と位置づけていて、その中身の多くは「肯定的な強化、生活の枠組み、一貫したしつけ」の使い方です。保護者はふつう専門家と8〜16回のセッションを重ねるので、冷蔵庫に貼ったシール表とはだいぶ距離があります。それでも、具体的な行動をほめて報いることが、このトレーニングの中心にあることは変わりません。

反対派の主張と、研究が実際に示したこと

この心配には名前があります。心理学でいう「アンダーマイニング効果」(過剰正当化効果)です。好きでやっていることに報酬を出すと、いつのまにか報酬のためにやるようになり、報酬がなくなるとやめてしまう、というものです。

この分野でいちばん大きなまとめは、エドワード・デシ、リチャード・ケストナー、リチャード・ライアンによる1999年のメタ分析で、128件の研究を統合しています。わかったことは次のとおりです。

  • 予告された、形のあるごほうびは、やる気を下げた。 課題をやり終えればごほうびがもらえるとわかっていた人は、その後、自由時間にその課題に取り組む時間が減りました(やり終えたことへのごほうびの効果量は d = −0.36)。
  • 形のあるごほうびは、大学生より子どもに大きな悪影響を与える傾向があった。
  • ほめ言葉は逆の結果に。 ほめ言葉などのポジティブなフィードバックは、自由時間の取り組み(d = 0.33)と、本人が答えた興味の両方を高めました。

幼児版の研究もあります。フェリックス・ワーネケンとマイケル・トマセロの2008年の研究では、大人を手伝って物のごほうびをもらった生後20か月の子どもは、ほめられただけの子や何ももらわなかった子よりも、その後また手伝う割合が低くなりました。著者らの解釈は、ごく早い時期のお手伝いは子ども自身の内側から出てくるもので、そこに報酬を払うと、その気持ちを押しのけてしまうことがある、というものです。

つまり、批判する人たちの言い分には、ちゃんと根拠があります。

ご褒美シールの効果:両方の立場が一致するポイント

同じ研究群を、別の角度から読んだ研究者もいます。ジュディ・キャメロン、キャサリン・バンコ、デヴィッド・ピアスによる2001年のレビューは、興味の低い課題へのごほうびは、自由時間のやる気をむしろ高めたと報告しています。悪影響が出たのは興味の高い課題で、主にごほうびが形のあるもので、事前に予告されていて、出来ばえとの結びつきがゆるい場合でした。

2つのレビューを並べると、重なる部分はとても実用的です。

研究から言えること
お子さまがもともと大好きなこと(お絵かき、ブロック遊び、絵本を読んでもらう) シール表には入れない。気づいて、一緒に楽しむ。
お子さまが退屈に感じること(歯みがき、パジャマ、おもちゃをかごに戻す) ここがシール表の出番。ごほうびが役に立つ。
自分から進んでするお手伝い(とくに幼児) 「ありがとう」を伝える。シールは逆効果になることも。
ほめ言葉 具体的であれば、どちらの読み方でもプラス。

ひとつ注意点があります。これらの実験の多くは研究室で、数分から1回のセッションのあいだに、パズルやお絵かきの課題を使って行われたものです。ふつうの家庭のふつうのシール表を、何か月も追いかけた研究はほとんどありません。研究からわかるのは「リスクがどちらを向いているか」であって、「どのくらいまでなら大丈夫か」という分量ではありません。

ご褒美シールが逆効果になる6つのパターン

1. もともとやることにごほうびを出す

よくある失敗が、毎晩「絵本読んで!」とせがむ子のシール表に「本を読む」を入れてしまうことです。これでは「読書は、ごほうびがないとやらない仕事」だと伝えてしまいます。シール表は、退屈なことのために取っておきましょう。

2. 一度にあれもこれも

12項目もあるシール表は、子どもの表というより大人のやることリストです。3〜4歳なら、2つか3つで十分。最初のものが自然にできるようになってから、1つ増やしましょう。

3. ごほうびが遠すぎる

4歳にとって、1週間は永遠のようなものです。最初のごほうびにシールが30枚必要なら、ほとんどの幼児は30枚目のずっと手前で興味をなくします。最初のごほうびは2〜3日で届くようにして、そこから少しずつ間隔を広げましょう。

4. 目標があいまい

「朝ちゃんとする」にはチェックをつけられません。「タイマーが鳴る前に靴をはく」ならつけられます。できたかどうかで親子で言い合いになりそうなら、書き直しのサインです。

5. シールをはがす

かんしゃくのあと、シールを1枚はがしたくなる気持ちはわかります。でも、やめておきましょう。もらったごほうびが取り上げられることがあるとわかった瞬間、シール表は「うまくいったことの記録」から「脅し」に変わってしまいます。かんしゃくにはかんしゃくとして向き合い、シール表はうれしい知らせのためだけに使いましょう。

6. 終わりのないシール表

シール表を外したら、どうなるでしょう。強化されなくなった行動は、薄れていきがちです。だからこそ2022年のシステマティックレビューは、トークンエコノミー(シールやポイントを貯めてごほうびと交換する仕組み)の成果を、終わったあとにどう保つかを調べました。いちばんうまくいったのは複数の方法を組み合わせたやり方で、著者らは、そのうち少なくとも1つは、役目をほかの「うれしいこと」に引き継ぐものにするよう勧めています。何度も登場したのは、ほめ言葉とセルフモニタリング(自分で記録をつけること)でした。研究の多くは家庭ではなく、学校やクリニック、治療プログラムで行われたものですが、教訓は家庭にも当てはまります。始める前に、やめ方を決めておくことです。

お菓子やゲーム・動画をごほうびにするときは

お菓子と画面の時間は、親がいちばん手に取りやすいごほうびであり、副作用もいちばん大きい2つです。

画面の時間については、証拠は少ないものの、同じ方向を指しています。1.5〜5歳の子ども62人を対象にしたカナダの小規模な研究では、テレビやタブレットなどの画面をごほうびにしたり、取り上げたりして行動をコントロールしていた家庭の子どもほど、画面を見る時間が長くなっていました。母親がそうしている場合は平日・週末とも、父親の場合は週末の視聴時間の長さと関連していました。一度きりのアンケートで、数字も親の自己申告なので、因果関係までは証明できません。もっとシンプルな理屈もあります。ゲームや動画をいちばんのごほうびにすると、「それが家の中でいちばん価値のあるもの」だと子どもに教えることになります。

私たちは、体験をごほうびにするほうをおすすめしています。以下は、Habibeeのために作ったごほうびリストのコストの目安で、単位はポイント(アプリでは「はちみつ」と呼んでいます)。どんなシール表にも使えます。

ごほうび 3〜5歳 6〜8歳 9〜12歳
寝る前の絵本をもう1冊 5 8 10
夕ごはんのメニューを選ぶ 8 10 12
公園へおでかけ 8 12 15
家族でボードゲーム大会 8 12 15
おうち映画の夜 10 15 20
毛布で秘密基地をつくって寝る 10 12 15
一緒にお菓子づくり 10 15 20
週末の予定を決める 15 20 25
お友だちと遊ぶ約束 20 25 30
動物園へおでかけ 30 40 50

コストが妥当かどうかは、ふつうの1日で貯まるポイント数で割ってみるとわかります。1ポイントのタスクを5つこなす4歳なら1日5ポイント。おうち映画の夜(10)は2日後、動物園(30)はおよそ6日後です。小さな子には、すぐ手が届く楽しみがいくつかと、貯めて目指す大きな目標が1つ、というのがちょうどよい組み合わせです。

創業者より:わが家には8歳の子どもがいて、たいていの日は、お手伝い以外ならほとんど何でもやりたがります。それがHabibeeが生まれた大きな理由のひとつです。

「卒業」まで考えたご褒美シールの始め方

目指すのは、朝ごはんのあとに歯をみがくのが「朝ごはんのあとはそういうもの」になっている子どもです。シールは足場にすぎません。いつか外せるように作りましょう。

対象は2つか3つに絞る。 いちばんもめごとの種になっていて、しかも明らかに退屈なものを選びます。それぞれ、目で見てわかる行動として書きましょう。「パジャマを着る」「お皿を台所へ」「おもちゃをかごへ」のように。

ごほうびは一緒に選ぶ。 自分から「一緒にクッキーを焼きたい」と言い出した5歳は、渡されただけのごほうびよりずっと本気になります。体験や特別な権利を中心にして、おもちゃはたまの大きな目標のために取っておきましょう。

最初のごほうびは近くに。 ふつうにがんばって2〜3日で届くくらいに。そのあとは、少しずつコストを上げてかまいません。

毎回、具体的にほめる。 AAPのしつけについてのアドバイスにお手本があります。「わあ、おもちゃをちゃんと片づけられたね!」。シール表がなくなったあとに残るのは、このほめ言葉です。

絶対に引かない。 もらったものは、もらったもの。

卒業を計画する。 ある行動が2〜3週間スムーズに続いたら「卒業」です。ちょっとしたお祝いをして表から外し、そのあとも気づいたら言葉にして伝えます。必要なら新しい項目を1つ加えるか、表を小さくしていきましょう。大きい子なら自分でチェックをつけて、大人はそれをちらっと見るだけにしてもかまいません。トークンエコノミーの研究が繰り返し指摘している「セルフモニタリング」の段階です。

うまくいかない日もあると心得る。 シール表があってもなくても、何をしてもだめな朝はあります。シール表がよくするのは平均であって、毎日をなめらかにしてくれるわけではありません。

ご褒美シールを始める前のチェックリスト

印刷するか、スマホのメモにコピーしてお使いください。

  • [ ] 対象の行動は2〜3つ、どれも目で見てわかる行動
  • [ ] どれも、子どもがもともと楽しんでやっていることではない
  • [ ] ごほうびは一緒に選んだ(体験が中心)
  • [ ] 最初のごほうびは2〜3日で届く
  • [ ] チェックがつくたびに、具体的にほめる
  • [ ] 「シールやポイントは絶対に引かない」というルールを決めた
  • [ ] 表は子どもから見えて、手が届く場所に貼った
  • [ ] 「卒業」の日を仮に決めた(今日から3週間後)
  • [ ] シール表のあとに何を残すか決めた(ほめ言葉、自分でチェック、新しい目標)

紙から始めたい場合は、印刷用のがんばり表をどうぞ。タスクを2〜3個書ける空欄、毎日のチェック欄、いっしょに選んだごほうびを書く目標欄があります。

1週間のがんばり表のプレビュー(1ページ目)1週間のがんばり表無料のPDF(A4とUSレター)開く

まだ小さくて、週の終わりまで待つのがむずかしい子には、印刷用のトークン表もあります。ハチの巣のマスが5個か10個あり、ひとつずつうめていきます。

トークン表(ごほうびシール台紙)のプレビュー(1ページ目)トークン表(ごほうびシール台紙)無料のPDF(A4とUSレター)開く

お子さまの名前やご家庭で決めたタスクを入れたいときは、無料のツールでお手伝い表やがんばり表を作成できます。1週間の表、シール表、トークン表から選んで、そのまま印刷できます。

Habibeeの初期設定も同じルールに沿っています。ごほうびを決めるのは保護者で、それぞれのごほうびには、あと何日くらいで届くかが子どもにわかるように表示され、貯めたはちみつを取り上げるボタンはありません。例外はひとつだけで、しかも自分でオンにする設定です。タスクが何日か手つかずになると、クマのバディが現れます。設定でオンにしたときだけ、バディがはちみつを少し持っていくことがあります。「絶対に引かない」を守りたいなら、オフのままにしておいてください。紙のシール表とペンでも、ここに挙げたルールはすべて守れます。

よくある質問

3歳にもご褒美シールは効果がありますか?

表がシンプルで、ごほうびが近ければ効果が期待できます。3歳なら、行動は1つか2つにして、文字の代わりに絵を使い、ごほうびは今日か明日に届くものにしましょう。シールを貼ること自体がいちばん楽しいようなら、それで十分。大きなごほうびは必要ありません。

ADHDの子どもにご褒美シールを使っても大丈夫ですか?

ADHDのある子どもの家庭の多くが、目で見てわかる表とごほうびを使っています。具体的な行動に報いることは、CDCが6歳未満の子どもへの第一選択として勧める保護者向けトレーニングの一部でもあります。ADHDに配慮した表は、ステップが少なく、絵が多く、小さなごほうびがこまめに届くのがふつうです。この記事は医療の専門家ではなく、親の立場から書いています。お子さまのことで気になることがあれば、かかりつけの小児科医に相談してください。

ご褒美シールはいつまで続ければいいですか?

決まった期間はありません。実用的なリズムとしては、2〜3週間ごとに見直して、うまくいっているものは卒業させ、2〜3か月後には表が目に見えて小さくなっているのを目指します。数週間たっても何も変わらなければ、同じことを続けるより、目標を小さくするか、ごほうびを近づける必要があるのかもしれません。

お手伝いにはおこづかいを払うべきですか?

それは別の問題で、考え方が分かれます。AAPのお手伝いのページは「終えたお手伝いと結びつけたおこづかいやシール」を検討するよう提案していますが、毎日の家の仕事は無償のままにして、おこづかいはお金のやりくりを学ぶためのもの、という考え方もあります。日本でよく言われる、お手伝いに応じて渡す「報酬制」か、決まった額を定期的に渡す「定額制」か、という話です。このテーマは近いうちに別の記事で取り上げます。


Habibeeは、3〜12歳の子ども向けのご褒美シール表アプリです。本物のごほうびを保護者が選べて、写真で確認でき、広告はありません。2026年11月リリース予定で、habibee.appでウェイトリストの登録を受け付けています。

出典

  1. Deci, Koestner & Ryan (1999). A meta-analytic review of experiments examining the effects of extrinsic rewards on intrinsic motivation. Psychological Bulletin
  2. Cameron, Banko & Pierce (2001). Pervasive negative effects of rewards on intrinsic motivation: The myth continues. The Behavior Analyst
  3. Warneken & Tomasello (2008). Extrinsic rewards undermine altruistic tendencies in 20-month-olds. Developmental Psychology
  4. Regnier et al. (2022). A systematic review of treatment maintenance strategies in token economies. Perspectives on Behavior Science
  5. Tang, Darlington, Ma & Haines (2018). Mothers' and fathers' media parenting practices associated with young children's screen-time. BMC Obesity
  6. CDC: Parent training in behavior management for ADHD
  7. AACAP Facts for Families: Chores and children
  8. HealthyChildren.org (AAP): Age-appropriate chores for children
  9. HealthyChildren.org (AAP): What's the best way to discipline my child?

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